2010年9月25日土曜日

冒険投資家ジム・ロジャーズ世界バイク紀行

もし1000人の人に金持ちになりたいかどうかを尋ねたならば、詩人と神秘家を一人ずつ除けば、皆がなりたいと答えるだろう。金持ちになるために何が必要かを説明したならば、そのうちおそらく600人は「問題ない、私にはできる」と言うだろう。しかしいざ、彼らが人生における他のこと全て--配偶者や子供、社会生活、場合によっては精神生活、それにおそらくはあらゆる娯楽を手にすること--を、目標達成のためには犠牲にしなければならないとなれば、ほとんど全ての人が脱落するだろう。そして1000人のうちおよそ数人が困難な道を歩み続けることができるのだろう。
 私たちのほとんどは、目標を成就するために他の全てのことを諦めて、五年、一〇年、二〇年とただひとつの目的に向かって集中するという訓練がなされていない。しかしこのことこそが、オリンピックの金メダリスト、国際的な外科医、キエフのバレリーナになるために必要な条件なのである。
 もちろん、そのようにしたところで、全てが徒労に終わる可能性もある。全ての仕事を帳消しにするような、ひとつの過ちをおかすかもしれない。十七歳のときの、あの甘美な、愛すべき自己を失ってしまうかもしれない。「人生においては、何をすることもできるが、全てのことをすることはできない」というあの古くからの金言はまことに正しいのである。これはベーコンが「妻子は富の敵である」と言った時に想起していたことである。もしあなたがそれらを優先するならば、一マイルを三分半で走ることも、一〇〇〇万ドルをまず儲けることも、偉大な米国の小説を書くことも、バイクで世界中を回ることも、たぶんできないだろう。そのような目標を達成するためには己の全てを注ぎ込む覚悟が必要なのだ。